マクドナルドのローストビーフバーガーについての錯乱した情報に思う

少し前からブログやツイッターを中心にマクドナルドのローストビーフバーガーについて様々な情報が交錯している。

マクドのローストビーフは豚肉だった」←全くのデマ

マクドのローストビーフは食品衛生法に違反している」←憶測

「ローストビーフバーガー食べたらハムだった」←ただの感想

などなど。ほとんどがテキトーな内容で自分では何も調べずに他の記事からの転用だったり憶測やデマばかり。

なぜ、マクドナルドが対象だとこのようなデマや風評が垂れ流されるのだろうか。

断っておくが私はマクドファンでも擁護派でもないし、ロストビーフバーガーを食べようとも思っていない。ただ、このような自分のブログのアクセス稼ぎや炎上目的のデマが横行するのがとても不愉快に感じるだけだ。

 

それでもこうして自分のブログに何か書こうとするからにはある程度は下調べをしなければならないと思うし、ここで書くことがそれこそデマになってはいけないので言葉を選んで書きたいと思う。

 

そもそも事の発端はマクドナルドの東京ローストビーフバーガーのアレルギー成分表示の欄に「豚肉」という表記があるのを見つけた誰かが「ローストビーフなのに豚肉が使われてる!」と騒ぎ出したのがきっかけだ。これに対してマクドナルドの広報は製造過程の調味液に豚肉由来の成分が使われているからだと説明したとされている。「とされている」と書いたのは私自身がマクドナルドの広報に確認したわけでもなければ公式HPにも何のコメントもされていないので、この情報自体が未確認だからである。同時にこの広報は「提供する肉の形や量を均一にするため、牛肉を重ね合せて形を整えスライスしている」と答えたとされるため、今度は「それが事実ならローストビーフは成型肉を使ってはいけないので食品衛生法上違法ではないのか」というコメントが溢れ始めた。

こうなるとネットで騒ぎ立てたい輩の勢いが止まらない。

成型肉ならハムと同じ」

マクドナルド営業停止も間近」

「100%ビーフじゃなかったのか」

などという声から、

「スーパーで売ってるロースカツやチキンカツも成型肉じゃねえか。何騒いでんだ」

というような的外れなツィートなどもあって呆れかえってしまう。

個人が感想を述べているだけなら仕方ないし止められないのだがタチが悪いのは、殆どが自分では何も調べずに刺激的な言葉だけがリツィートされた結果、「マクドナルドのローストビーフバーガーが危険」という印象を多くの人が受けてしまった。

 

しかし、これまで書かれたキーワードをもとに少し調べるだけで違った見方もできる。

これはあくまでも私の推測でありマクドナルドの公式発表でもなければ本当のことは判らないのだが、「調味液」という言葉、「肉を重ね合わせて形を整えて」という表現などから、マクドナルドのローストビーフは大手のハムメーカー(日本ハム伊藤ハムなど)がローストビーフを作るときに採用している「真空調理法」を用いて作られているのだろうということが想像される。普通に考えてみれば明らかだが日本全国のマクドナルドで大量に販売されるローストビーフを供給するのに、いわゆる肉の塊を一つ一つグリルでローストして調理するのは非効率的でありかつ個体差を伴うため販売に向かない。あくまで推測の域を出ないが大量のローストビーフを均一に作ることを前提とすれば、牛肉の塊を「調味液」と一緒にパックして真空状態にし低温でじっくり加熱する真空調理法が適しているし、真空状態にパックされる時点で「肉が重ね合わさって形が整う」はずだ。

 この製法は食品衛生法上も全く問題ない。成型肉をローストビーフに使用してはいけないのは本来肉の外側の部分が成型された時に肉の中に混じり込むのが問題なのであって、成型された肉をローストした場合に肉の内部が過熱されずに菌が繁殖する危険性を危惧している。真空調理の際に肉が圧縮されて重ね合わされることと成型の為に生肉をプレスするのは意味が異なる。

ただ、この真空調理法によって作られた半生の肉を「ローストビーフ」と呼んでもいいのかということについては別の問題と言えるだろう。こうして考えればマクドナルドの広報のコメント

「ローストビーフといっても様々な解釈があり、当社では製品化する際に調査、確認の上でこの商品名を決めましたのでローストビーフとして販売しております」

というのも腑に落ちる。

 

上記の考察はあくまで私の想像なのでこれが真実だとかマクドナルドのローストビーフの正体だなどというつもりは全くないのだが、こんな私でさえ少し調べるだけでこれくらいの想像に辿り着けるのになぜ、ネット民は冒頭のような暴挙に出たがるのだろうか。

最初に書いたがデマや中傷がアクセス数を増やしアフィリエイト稼ぎに繋がるのならば日本のネット社会の将来は真っ暗な気がする。少なくとも私は誰かの一方的なコメントだけを信じて垂れ流す事だけはしないように心掛けているつもりだ。